「終わりの六代」インスタレーションノート

【詳細】
製作|2025年4月2日
タイトル|終わりの六代
会場|Artspace入サ岩﨑商店 ▶公式サイト
演奏会|2025年8月22日・23日
インスタレーション×パフォーマンス平家琵琶で聞く平家物語「終わりの六代」
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語り手が境を越え、あちらの一部となることで完成する、諸行無常のインスタレーション。反物を『平家物語』全十二巻に見立て巻を開くことで、物語と現実、あちらとこちらの境が開くところを表現しました。物語が平家の滅亡へと進むように、右の第一巻から左の第十二巻へと、赤(平家)から白(源氏)へ色が移り変わっています。

物語が音で語られなくなる「譜の消失」の意を込めて、反物には、必要とされなくなったもの、封をされたまま時を経たもの、人の使用した気配を残すものを選びました。譜面台の前に広がる紅白の紐は、巻を結ぶ紐であり境目・結界を表しています。

過去と現在、物語と現実、継続と滅び。さまざまな『境(さかい)』は、私たちの日常に静かに、そして曖昧に存在しています。かつて音で語られていた平家物語は、今もなお、「あちら」と「こちら」を繋ぐ『境』に、ひっそりと息づいています。私は、物語を声に出すとき、雲の中から現れた巻物の紐がほどけていくような感覚を覚えます。今回のインスタレーションは、私の脳裏に広がる諸行無常の『境』を、ひとつのかたちとして可視化する試みでした。

終わりの六代インスタレーション

十二巻の後にある灌頂巻。巻物は開けませんでした。私の妄想の中の灌頂巻は苔に埋もれていて形が見えません。今回の展示は生地探しでピンときた帯に灌頂巻役をお願いしました。

インスタレーションは諸行無常。全てのものは移ろい、同じ形にはなりません。反物を開きながら端を調節してこの形にしました。二度と会えない生地のたわみですが、それも愛おしいと感じます。

チラシ(A4両面カラー)

パンフレット(A4両面カラー三つ折り)

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