平経盛|平家物語巻第七『青山』現代語訳あらすじ

平家物語「青山」現代語訳あらすじ

平曲|青山(せいざん)

平曲を聞く「青山」

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時間|10分08秒
物語|平家物語巻第七『青山』

詞章
彼青山と申す御琵琶は昔仁明天皇の御宇、嘉祥三年三月に掃部頭貞敏渡唐の時、大唐の琵琶の博士廉承武に逢ひ三曲を伝へて帰朝せしに、其時玄上、獅子丸、青山とて三面の琵琶を相伝して渡りけるが、龍神や惜しみ給ひけん、浪風荒く立ちければ獅子丸をば海底に沈めぬ、今二面の琵琶を渡いて我朝の帝の御宝とす。


平家物語巻第七『青山』現代語訳あらすじ

平家物語「青山」現代語訳あらすじ

※平曲の譜面『青山』から書き起こした文章を現代語訳にしています

経正が十七歳の年、宇佐八幡宮への勅使を承って下向した。その際琵琶の青山(せいざん)を携えて参拝し、御殿に向かって秘曲を奏でたところ、その素晴らしい音色にお供の役人たちは皆、等しく緑色の装束の袖を涙で濡らした。 情趣を解さない身分の低い者たちまでもが、これを村雨の音と聞き間違えるはずがないと感動した、実に見事な出来事であった。

そもそも、この青山という名器は昔仁明天皇の御代、嘉祥三年三月に掃部頭貞敏(かもんのかみさだとし・ていびん)が唐へ渡った際、琵琶の博士廉承武(れんしょうぶ)に出会い、三つの秘曲を伝授されて帰国した時のものである。 その時、玄上・獅子丸・青山という三面の琵琶を譲り受けたが、龍神が惜しんだのか波風が激しく立ち込めたために獅子丸を海底に沈めてしまった。 残りの二面を持ち帰り我が国の帝の至宝としたのである。

村上天皇の聖代応和のころ、十五夜(三五夜)の月が白く冴え渡り、涼やかな風が吹き抜ける夜更けに、帝が清涼殿で玄上を弾いておられた。 すると影のような者が御前に現れ、優雅で気高い声で見事な唱歌を披露した。 帝が正体を尋ねるとその者は「私は昔、貞敏に曲を伝えた廉承武である。三曲のうち一曲を教え残した罪によって魔道に落ちているが、琵琶の音に惹かれて参上した。この曲を帝に授けることで仏果菩提(成仏)したい」と答えた。 そして御前にあった青山を取り、転手を回して調弦し、秘曲上玄・石上を帝に授けたのである。

その後、帝も臣下もこの不思議な出来事に恐れをなして琵琶を奏でることはなくなったが、やがて仁和寺の御室へ納められたこの琵琶を、経正が童形として寵愛されていた時に拝領したのだという。 この琵琶の甲は紫藤の木で作られ、撥面には夏山の緑の木々の間から有明の月が昇る様子が描かれていたため、青山と名付けられた。 玄上にも劣らぬ、まことに類いまれなる名品であった。


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