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盛典よりご挨拶

私が『平家物語』を読んだのは30代後半です。多忙で心身のバランスを崩したときでした。上下巻の簡単な物語を読んで大筋を知り、漫画や大河ドラマを見て登場人物に親しみ、そこから全巻を読みました。もともと古典や歴史に興味があったわけではなく、芸事の家で育ったのでもありません。簡単なきっかけを足掛かりに少しずつ興味を広げたら、心に沁みたのが『平家物語』でした。

師匠の元で平曲を学んでいる今も分からないことだらけですし、何もかも拙いのですが、物語に没入して、見えない景色を想像する時間は私の身体と心を強く支えています。家族の絆、主従の絆、男女の絆、誰かのために命を懸ける、もう会えない時間を想う、立ち去る姿に涙を流す。敵味方、善悪、史実、創作が複雑に混ざり合った『平家物語』は、40代の私に様々なことを気付かせてくれます。

『平家物語』を全部知らなくても、歴史に詳しくなくてもいい。あの時の私のように物語に没入することで日々の喧騒から離れて自分を癒す。景色を想像することで自分の感性を磨く。そんな風にささやかでも必要な方に平家物語が届くきっかけになれば嬉しいです。

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