絃を弾いたときに震える空気。
そこに語る音が漂うと雲が沸く。
雲の中から現れる紐で結ばれた平家物語の巻。
研鑽と礼節で自分の存在を忘れたとき
紐がほどけて物語が開く。
ひとつひとつの物語を大切に紐をほどきたい。
800年を漂う平家物語の皆様にお会いしたい。
その気持ちで今日も学びを続けています。
盛典より
私が『平家物語』を読んだのは30代後半です。多忙で心身のバランスを崩したときでした。上下巻の簡単な物語を読んで大筋を知り、漫画や大河ドラマを見て登場人物に親しみ、そこから全巻を読みました。もともと古典や歴史に興味があったわけではなく、芸事の家で育ったのでもありません。簡単なきっかけを足掛かりに少しずつ興味を広げたら、心に沁みたのが『平家物語』でした。
師匠の元で平曲を学んでいる今も分からないことだらけですし、何もかも拙いのですが、物語に没入して、見えない景色を想像する時間は私の身体と心を強く支えています。家族の絆、主従の絆、男女の絆、誰かのために命を懸ける、もう会えない時間を想う、立ち去る姿に涙を流す。敵味方、善悪、史実、創作が複雑に混ざり合った『平家物語』は、40代の私に様々なことを気付かせてくれます。
『平家物語』を全部知らなくても、歴史に詳しくなくてもいい。あの時の私のように物語に没入することで日々の喧騒から離れて自分を癒す。景色を想像することで自分の感性を磨く。そんな風にささやかでも必要な方に平家物語が届くきっかけになれば嬉しいです。
琵琶
平家琵琶雷伝(らいでん)
五世石田不識作、名前の由来は雲を呼び降りてくる雷から。
奏者
盛典(もりのり)
芸事とは無縁の家庭で育つ。20代から通販業界と販促企画のデザインに従事。30代後半に心身のバランスを崩した際に平家物語と出会い、没入することで救われる。薩摩琵琶正派・平家琵琶奏者の須田誠舟氏に師事中。コロナ禍を機に学びを深めることを決意する。2024年から様々な場所や形式で小さな演奏会を開き、平曲(平家琵琶の伴奏で平家物語を語るもの)と物語の魅力を伝える活動をしている。
須田誠舟 https://www.sudaseishu.com/
石田琵琶店 https://ishidabiwaten.com/
会員
日本琵琶楽協会 https://nihonbiwagakukyokai.jimdofree.com/
運営
株式会社 BRIGADE https://brigadejapan.com
活動歴
2024年
・第8回横浜トリエンナーレ応援プログラム「寝ながら聞く|平家琵琶で聞く平家物語|竹生嶋詣」
・藤沢市後援「義経の声|ショートパフォーマンス版」
・神奈川文化プログラム認証
「木曽義仲は振り返る|平家琵琶で聞く平家物語|巻第九『木曽最期』」
「那智の沖にて」寝ながら聞く|平家琵琶で聞く平家琵琶で聞く平家物語
・かながわ県民文化祭参加プログラム「平家琵琶で聞く平家物語『最期の海、壇ノ浦。』」