【次回の演奏会】11月26日(火)「最期の海、壇ノ浦。」▶

薩摩琵琶正派・平家琵琶奏者|須田誠舟氏による平曲をアーカイブで公開中

平曲は全国各地に様々な奏者の方がいます。研究会や保存会もあって、それぞれの語り方や伝承の方法は異なりますが、どの方も真摯に取り組みながら後世に繋げる活動を行っています。奏者の方や研究会、保存会を通じて平曲の魅力を感じていただけたら嬉しいです。

今日は私の師匠、須田誠舟先生をご紹介します。
須田先生が演奏する平曲全200曲を収録した、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業インターネットアーカイブはこちら。全曲お聞きいただけます。
https://archive.org/details/Heike

奏者
須田誠舟(すだせいしゅう)
薩摩琵琶正派・平家琵琶奏者
https://www.sudaseishu.com/

経歴
1947年東京生まれ。薩摩琵琶を辻靖剛先生、平曲を金田一春彦先生に師事。国内外で多数の演奏会に出演し、NHK大河ドラマなどの琵琶指導を担当。主要な演奏会として「平家物語の世界」などがある。現在、日本琵琶楽協会会長、薩摩琵琶古曲研究会会長、薩摩琵琶正絃会理事長を務める。

薩摩琵琶正派の演奏
豪放で自由闊達な演奏が特色の薩摩琵琶正派。大型の琵琶を大型の撥で力強くかき鳴らし、即興的な旋律を織り交ぜながら力強く歌い上げます。

薩摩琵琶正派『川中島』
演奏:須田誠舟 27分01秒


平家琵琶・平曲の演奏
平家琵琶・平曲は内容に応じて節や拍子が変化します。勇ましい内容の曲には活気のある節ではやく、哀れな内容の曲にはしんみりした節でゆっくりと語られます。

平曲『敦盛最期』
演奏:須田誠舟 33分13秒


祇園精舎は冒頭よりも…
インターネットアーカイブでは須田先生の語る平曲200曲が聞けるので平家物語の冒頭の『祇園精舎』をお聞きになりたい方は195曲目からどうぞ。私は『祇園精舎』の冒頭「祇園精舎の鐘の聲」よりも、最後の「殿上の仙籍をば未だ許されず」の所が好きです。平家物語の最初の巻を結んでいる紐がようやく解かれて、物語が開くような気がするからです。

須田先生の平曲200曲インターネットアーカイブはこちら
https://archive.org/details/Heike

平曲は平物161曲・伝授物28曲・秘曲10曲となっていて、『祇園精舎』は秘曲のひとつです。すべての平物と伝授物を終えたあとに授けられるもので、学びの途中の私には遥か彼方ですが、私が生きているうちに学べなくても全然構わないのは、段階を踏んで学ぶ大切さややりがいを体感しているからです。拙くても大きな声を出して琵琶を持つ。時間をかけて勉強するって本当に楽しい。その楽しさを教えてくださったのは師匠です。

ぜひ皆さんも平家物語・平曲に触れてみてくださいね。薩摩琵琶正派も素敵ですよ!

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