小さな演奏会のご案内|あのひとのうた|『横笛』|大磯町鴫立庵

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今日は9月10日(火)の小さな演奏会「あのひとのうた」のご案内です。この会場では10月も小さな演奏会を行う予定です。

10月のあのひとのうたは平曲『海道下』
https://morinorijapan.com/lecture-and-performance/20241008

9月10日(火)
あのひとのうた|平曲『横笛』

「あのひとのうた」は平家物語の中の歌の部分を、平家琵琶の伴奏で語る15~20分程の小さな演奏会。9月は『横笛』です。8・9月は横浜で小さな演奏会「那智の沖にて」を行っていて、そこでは平曲『横笛』『維盛入水』を語っています。この会場では『横笛』の中から歌の部分を語ります。

那智の沖にて特集ページ
https://morinorijapan.com/nachinookinite

『横笛』現代語訳全あらすじ
https://morinorijapan.com/tale-of-the-heike/yokobue-nachinookinite

斎藤滝口時頼(滝口入道)は想いを寄せる横笛との間柄を父親に反対され出家します。横笛に声もかけずに出ていってしまうので、横笛はひとめでも会いたいと滝口入道を探し歩き、ある僧坊で念誦の声を聞いて滝口入道がそこに居るのではと尋ねるのですが、滝口入道はその姿を隙間からそっと見て同宿のお坊さんに追い返させてしまいます。嫌いになって別れたのではない女がここまで訪ねてくる様子をみて、もう次は自分の心を押さえられるか分からない。と場所を変えて修行に励みます。

そのうちに横笛も出家したという知らせを聞き、滝口入道は一首の歌を送ります。「剃るまでは恨みしかども梓弓、真の道にいるぞうれしき」横笛からの返事に「剃るとても何か恨みん梓弓引きとどむべき心ならねば」。横笛は思いが積もったのかその後亡くなり、滝口入道はますます修行に専念し、高野聖と呼ばれるようになります。

とても個人的な感想ですが、横笛の返事を歌を語っていると、諦めというか悲しさを感じて本当に可哀そうになります。滝口入道が貫く想いの形も理解できますが、平曲『横笛』で横笛の足跡を追って景色を見ていくと、ボロボロになりながら滝口入道を訪ねる姿が可哀そうで。「引きとどめられるようなあなたの心ではないから」と返す歌も切ないです。

『横笛』で弱さや未練を見せる斎藤滝口時頼は滝口入道となって、その後『維盛入水』で入水前に弱さや未練を見せる平維盛に教えを説くという。平家物語の構成って本当に唸りますね。

9月10日は『横笛』からふたつの歌「剃るまでは恨みしかども梓弓まことの道にいるぞうれしき」「剃るとても何か恨みん梓弓引きとどむべき心ならねば」を語ります。

開催日時・場所案内

あのひとのうた|平家物語巻第十「横笛」
日程:2024年9月10日(火)
時間:10:40~11:00  開場10:30
※15分程の演奏会です
演目:平家物語巻第十「横笛」
タイプ:演奏会(冒頭に短い現代語訳解説後、演奏を聞く。)
料金:無料
入庵料がかかります(町内110円、町外310円)
お申込み:不要(直接会場へお越しください)

【会場】
大磯町鴫立庵(大磯町指定有形文化財)
神奈川県中郡大磯町大磯1289
JR大磯駅より徒歩7分
https://www.nem-shiteikanri.jp/shisetsu/shigitatsuan/index.html

大磯町鴫立庵
平安末期の歌人・西行法師の歌『心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮』大磯あたりの海岸を吟遊して詠んだといわれるこの歌に由来する鴫立庵は、江戸時代初期に小田原の崇雪が鴫立沢の標石を建て、石の五智如来像を運んで草庵を結んだことから始まりました。三百年以上続く日本三大俳諧道場の一つです。

会場(控室)の開場は10時半とさせていただいていますが、鴫立庵は9時から開場していますので準備する音や声が漏れているかもしれません。また天候や災害等の注意情報により変更になる場合もございます。何卒ご容赦ください。

それでは会場でお会いできるのを楽しみにしています。

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