那智の沖にて|寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語

那智の沖にて|寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語|演奏会のご案内

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2024年夏の終わりから秋にかけて新しい物語を語ります。「那智の沖にて|寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語」のご案内です。

8月9月は久しぶりの横浜会場。寝ながら聞くタイプの演奏会です。この会場で春に開催した小さな演奏会(3日目)の様子はこちら
第8回横浜トリエンナーレ応援プログラム
「寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語@横浜|竹生嶋詣」
https://morinorijapan.com/concerts/yokohama-chikubushimamoude-240517

那智の沖にて|寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語

那智の沖にて|寝ながら聞く平家琵琶で聞く平家物語
特集ページはこちら
https://morinorijapan.com/nachinookinite2024

【演奏会について】
『那智の沖にて』は寝ながら(横になりながら)聞いていただく演奏会です。会場にヨガマットをご用意していますので、座ったり横になったり自由な姿勢でお聞きください。難しい言葉や音の響きで眠気を感じるかもしれませんが、そのまま眠ってしまっても構いません。定員6名の小さな演奏会です。

【那智の沖にて】
平曲(平家琵琶の伴奏で平家物語を語るもの)の平家物語巻第十「横笛」と「維盛入水」を語ります。それぞれの物語で描かれる現世の苦しみからの解放と精神的な昇華。時頼と横笛の物語は出家という形で精神的な成長と解放を遂げ、維盛は自らの命を終えることで、家族や仲間への未練を断ち切り、悟りへの道を選ぶことになります。

平家物語巻第十『横笛』あらすじ

平家物語巻第十『横笛』現代語訳あらすじ
滝口入道|平家物語巻第十『横笛』現代語訳あらすじ

平家物語巻第十『横笛』あらすじ
平維盛は都に残した家族への思いを胸に、葛藤しながら屋島から高野山へと向かいます。そこにはかつて愛した女性、横笛に想いを寄せながらも、家族の反対に遭い仏道へと進んだ滝口入道(斎藤滝口時頼)がいました。維盛の最期を見送る滝口入道が仏道に向かうきっかけとなった横笛との物語です。

『横笛』現代語訳全あらすじ
https://morinorijapan.com/tale-of-the-heike/yokobue-nachinookinite

平家物語巻第十『維盛入水』あらすじ

平家物語巻第十『維盛入水』現代語訳あらすじ
平維盛|平家物語巻第十『維盛入水』現代語訳あらすじ

平家物語巻第十「維盛入水」あらすじ
熊野三山を参詣した平維盛達は、海へと進みます。入水を前に家族への思いに苛まれる維盛の様子を見た滝口入道は、涙をぬぐい平常心を装って維盛を説きます。未練を断ち切り、悟りの道を選ぶ維盛の最期が描かれます。

『維盛入水』現代語訳全あらすじ
https://morinorijapan.com/tale-of-the-heike/koremorijusui-nachinookinite

独特な語りが魅力の平曲

平家物語巻第十『横笛』現代語訳あらすじ

独特な語りが魅力の平曲
平家物語というと、『那須与市(与一)』『敦盛最期』『壇ノ浦合戦』などが知られています。そのため、『扇の的』『敦盛』『壇ノ浦』といった名前で、様々な琵琶奏者の演奏を耳にしたことがあるかもしれません。私が学んでいる平曲(平家琵琶の伴奏で平家物語を語るもの)は江戸時代に整えられた墨譜を用いています。

私の認識不足でしたらすみませんが、簡単にお伝えすると盲目の琵琶法師たちによって口伝で伝えられてきた平曲は、様々な理由から墨譜が整えられ、のちに墨譜から譜が取り除かれて文字だけになり、語りもの(語りによる物語伝承)・読みもの(書物として読む形)の様々な平家物語が派生したようです。

薩摩琵琶や筑前琵琶などの演奏で用いられている譜面は墨譜ではなく、各流派や奏者の方が平家物語に節を付けた譜面を使っているので言葉が比較的分かりやすく、華やかな演奏で景色を思い浮かべやすいです。一方で、墨譜を読み解いて語る平曲は、言葉が分かりづらく、平家琵琶の演奏も素朴で景色が思い浮かびにくいかもしれません。ですが、登場人物の嘆きや、霞む景色、相手を思って詠む歌、唱えられるお経など、物語の文字に沿って譜が振られているので、様々な場面の“語り”に独特の魅力があるのではないかと私は思っています。

平曲や平家琵琶は神社やお寺、研究発表会以外では目にする機会が少ないかもしれません。伝統を守る方々に敬意を払いながら、私自身は学びの一環として平家物語の魅力を知っていただく小さな演奏会や講座を開いています。

スケジュール一覧はこちら
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今回の演奏会「那智の沖にて」で語る平家物語巻第十の『横笛』と『維盛入水』は、『那須与市』や『敦盛最期』に比べると耳にする機会が少ないかもしれません。『維盛入水』は平維盛が那智の沖で入水するときの物語で、『横笛』は平維盛が入水する際に念仏を唱える滝口入道が出家したときの物語です。どちらも現世の苦しみからの解放と精神的な昇華が描かれています。少し長いですが、ご来場いただく前にあらすじをお読みいただくと良いかもしれません。時間の都合上すべてを演奏することはできませんが、なるべく長く平家物語の世界へご一緒できればと思っています。

那智の沖にて演奏会情報はこちら
https://morinorijapan.com/nachinookinite2024

それでは、那智の沖でお目にかかれますように。


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