【開催報告】2日目|木曽義仲は振り返る|平曲『木曽最期』演奏会

2024年7月30日に「木曽義仲は振り返る|平家琵琶で聞く平家物語|巻第九『木曽最期』」の2日目を開催しました。この演奏会は、6月25日・7月30日の2日間、鎌倉で行いました。この記事は2日目7月30日の開催報告です。

声で紹介

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※音量にご注意ください

平家物語巻第九『木曽最期』本番音声

音量にご注意ください
時間:4分43秒
録音:2024年7月30日 本番
会場の音をそのままにしているため、お聞き苦しい箇所があります。

音声内容
「遠からん人は音にも聞け、近くは目にも見給へ。木曽殿の乳母子に今井四郎兼平とて生年三十三に罷り成る、さる者ありとは鎌倉殿までも知ろし召されたるらんぞ。兼平討つて兵衛佐殿の御見参に入れやとて、射残したる八筋の矢を差し詰め引き詰め散々に射る。死生は知らず矢庭に敵八騎射落し、その後太刀を抜いて斬つて廻るに面を合はする者ぞなき。ただ射取れや射取れとて差し詰め引き詰め散々に射けれども、鎧よければ裏かかず、あきまを射ねば手も負はず。」

会場の入り口。中央の頭上に小さな実がなっていたのでそっと下を通りました。

私の演奏場所は窓側、皆さんは私越しにお庭が見える形にしています。

今回の装い
薄藤の色無地、鉄紺の半幅帯、灰の袴

開催報告ー「木曽義仲は振り返る」2日目

最初に現代語訳を全て読む
2日目となる7月30日は、構成を変えて語りの前に現代語訳を全て読みました。最初に現代語訳で物語を知っておくことで平曲(平家琵琶の伴奏で平家物語を語るもの)を身近に感じていただけたらという思いと、途中で区切って登場人物たちの勢いをくじきたくない思いからでした。

タイトル「木曽義仲は振り返る」
演奏会のタイトルを平曲「木曽最期」ではなく「木曽義仲は振り返る」としたのは、あのとき薄氷の張った深田で振り返ってしまった木曽義仲と、あのときの軍のことを振り返っている木曽義仲を思い浮かべたからです。平家物語の数だけあるといわれる平曲は、物語ごとに節の組み合わせ方が異なっていて、勇ましい物語には勇ましい曲節、悲しい物語には悲しい曲節が付けられています。木曽最期は両方混ざっている感じでしょうか。

練習で師匠の語りを聞きながら何度も泣きまして。後半、今井四郎兼平が名乗りを上げて戦うところで一瞬疾走感のある節が入るのですが、そこになる度に「今井四郎兼平は強い、私が誰よりも知っている」という気持ちが自然と沸き上がってくるんです。自分の拙い語りでも涙が出るので、この気持ちは何なんだろうと考えました。時代を越えて様々な方がそう思ってきたのかもしれないし、私もそう思っている。そして誰よりも一番強く思っているのは木曽義仲様なのかもしれないと、あのときのことを振り返る「木曽義仲は振り返る」というタイトルを付けました。

バナー画像の文字「あの女が、あの男が強いことを私は誰よりも知っている。」も物語の中にない言葉です。自分の妄想の言葉ですが、木曽義仲は、巴が兼平が強いことを誰よりも知っている。誰よりも。私はそう思っています。

木曽義仲は振り返るは2025年に再演を予定していますので、また日程が決まり次第お知らせします。

今回は現代語訳+平曲で休憩なしの60分。平家琵琶も語りも、皆さんのおかげで沢山の学びを得ることができました。諸々疲れさせてしまって申し訳ありません。暑い中ご参加くださってありがとうございました。会場のGarden&Spaceくるくるさん、お世話になりました。1日目、2日目と足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。ゆっくりとお話ができなくて申し訳ありませんでした。またいつかどこかでお会いできたら嬉しいです。

この会場での次回の演奏会は
『最後の海、壇ノ浦。』
https://morinorijapan.com/heike-tale-final-sea-dannoura

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