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ここは、平曲(平家琵琶の伴奏で平家物語を語るもの)の小さな演奏会や講座を行っている盛典のサイトです。このページでは平家物語巻第十一『壇浦合戦(だんのうらかっせん)』の現代語訳あらすじを紹介しています。拙いものですがよろしければご覧ください。併せて平曲の小さな演奏会「最期の海、壇ノ浦。」を後半でご紹介します。
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平家物語巻第十一『壇浦合戦』簡単なあらすじ
源氏と平氏の両軍は合戦の準備を整え、一斉に軍の叫び声を上げた。その声は天にまで届き、地神さえも驚くほどだった。新中納言知盛は兵士たちを激励し、命を惜しまず戦うよう命じる。その後、新中納言知盛は大臣殿に対して、阿波の民部重能の様子を報告し、首をはねる許可を求めたが、大臣殿はこれを許さなかった。平家は千余艘の船を三つの隊に分け、山鹿の兵藤次秀遠が先陣を務め、松浦党が二陣に続き、公達たちが後陣を守った。山鹿の兵藤次秀遠は精鋭五百人を率いて、一斉に矢を放った。一方、源氏の大将軍源九郎義経は盾も鎧も耐えられず、多くの矢を受けた。平家は勝利を確信し、喜びの声を上げた。
平家物語巻第十一『壇浦合戦』現代語訳全文
※平曲の譜面『壇浦合戦』から書き起こした文章を現代語訳にしています
その後、源氏と平氏の両軍は合戦の準備を整え、軍の叫び声を一斉に上げた。その声は天にまで届き、地神さえも驚くように感じられた。新中納言知盛の卿は船の屋形に進み出て大声で「天竺や震旦、日本の朝廷にも比類なき名将勇士と言えども、運命が尽きれば力及ばず。しかし、名誉は惜しむが命は惜しむべきではない。戦いは今日が最後だ、退く心なく戦おう。ただそれだけだ。」と言った。飛騨の三郎左衛門景経はこれを受けて「これを聞け、侍共。」と命じた。
上総の悪七兵衛が進み出て「坂東武者は馬の上では口が達者だが、船での戦いはいつ訓練するのか。これは魚が木に登るようなものだ。一人一人捕まえて海に投げ込んでやる。」と言った。越中の次郎兵衛も進み出て「同じく戦うなら大将の源九郎と組み合え。源九郎は背が低く色白で、少し歯が出ている。しかし鎧と直垂を常に着替えるので見分けが難しいだろう。」と言った。悪七兵衛はさらに「何だその若造は。勇猛であっても、どれほどのことがあるだろうか。片腕に挟んで海に沈めてやる。」と言った。
新中納言知盛卿はこのように命令した後、大臣殿の船に参って「味方の兵は今日はよく見えます。しかし、阿波の民部重能だけが心変わりしたように思えます。御命令をいただいて首をはねましょう。」と言うと、大臣殿は「奉公する者を、何も悪事をしていないのにどうして首をはねられようか。重能を呼べ。」と言った。阿波の民部重能は木蘭地の直垂に洗革の鎧を着て大臣殿の前に畏まった。大臣殿は「重能か」「はい」「四国の者共に戦えと命じよ。今日は臆しているように見える。」と言った。重能は「何故臆することがありましょう」と言って大臣殿の前を立ち去った。新中納言知盛の卿は「憎い奴め、あの首を打ち落としてやる。」と太刀の柄を砕けんばかりに握って、大臣殿の方を見つめたが、大臣殿が許さなかったので力及ばず終わった。
その後、平家は千余艘の船を三つの隊に分けた。まず山鹿の兵藤次秀遠が五百余艘で先陣に向かい、松浦党の三百余艘が二陣に続き、公達たちの二百余艘が後陣に控えた。特に山鹿の兵藤次秀遠は九州一の強弓で、彼に匹敵する者はいないが、普通の精鋭五百人を選び、船の前後に立たせて五百の矢を一斉に放った。源氏の方も三千余艘の船があったが、どこに精鋭がいるかはわからなかった。特に源氏の大将軍源九郎義経は盾も鎧も堪えられず、散々に矢を受けた。平家方は勝ちを確信して攻鼓を打ち、喜びの声をあげた。
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